homereports on history 雑学・事件の検証etc...レポート
A matchlock/鉄砲/火縄銃の話


戦闘革命/鉄砲の伝来
何時・・・・・・・天文12年(1543)8月25日
何処で・・・・・九州南方43キロのにある種子島で
誰が・・・・・・・島主の「種子島時たか」が
何を・・・・・・・鉄砲を
どうしたか・・ポルトガルの冒険商人2名がシンガポールで仕入れたものを、2千金で2挺購入したとここまでは小学生の良い子でもご存知の話。だがなかなか奥が深くて知れば知るほどおもしろい。
島で射撃方、製造法の研究がなされ、1年後に「種子島銃」10挺が完成し、その後「根来」「国友」といった地域で鉄砲鍛冶工業が盛んとなる。

新戦略ハイテク兵器登場
鉄砲の普及が進むと悠長にも腕自慢の豪傑が「やあやあ我こそは○○なり、遠くにありては音に聞け、近くば寄って目に見よ・・・」と刀や槍を振りかざし名乗りを挙げているうちに「ズッドーン!」と撃たれてしまう。
初めて合戦史上に登場したのは鉄砲伝来から7年後の天文19年(1550)洛中(京都)での三好長慶VS細川晴元の合戦において、三好方の某が晴元の指揮する鉄砲隊に撃たれ戦死したとの記録がある。
華々しく世に知られるようになったのは、はさらに四半世紀も後の天正3年(1575)神をも恐れぬ織田信長VS甲州騎馬軍団率いる武田勝頼が設楽ヶ原を舞台に繰り広げた「長篠の合戦」である。このとき諸候は鉄砲の前に天下無敵の騎馬軍団が膝まづくという衝撃な事態に驚いた。

鉄砲解体新書
射程距離約500メートルだが、人馬への殺傷力を考慮するとせいぜい200メートル。しかも具足を貫くには悲しいかな100メートル以内。
火縄銃の射撃速度は装填(下記「取り扱い方指南」参照)に手間取るため最初の一撃が勝負だ。ちなみに1行程20秒でセットできたら上出来。そこで3段、4段と構え連続射撃が行われるようになった。
最大の難点は雨天使用不可となる。
煤が溜まるのでお手入れはマメにすること。
弾丸は鉛で7分玉、3匁(もんめ)玉、6匁玉、10匁玉、200匁玉があった。
1匁は1貫の1000分の1で約3.75g。関ヶ原以降盛んに使われた「大筒」は200匁玉使用48口径重量27.4キロとかなり迫力がある。
タイトル下のイラストは「堺筒」で真鍮製の金具がオシャレな2匁5分玉使用12口径重量1.8キロと軽量タイプ。
自衛隊員の方が基地の衛門所で警備中に持っておられる「64式自動小銃」が重量4キロなので比較してみよう。
「日本風土記」なる書物によると標準タイプで1挺で20余両とあり、20世紀末の価値に換算すると約200万円也。
製造に必要な連鉄(れんてつ)や火薬の原料の硝石(しょうせき)が明国からの輸入品であったり、製造開発に膨大なお金がかかった。

鉄砲の特徴
国友系/近江国国友村(滋賀県長浜市)
銃口の先が八角になっていて、銃口の部分を太くした柑子(こうじ)のないものが多い。
堺系に比べると飾りが少ないとゆわれるが、近江国日野(滋賀県蒲生郡日野町)産は、銃の台に牡丹や波に千鳥とう凝った飾りがついていた。
堺系/和泉国堺(大阪府堺市)
台の上に豪華な飾りがついていた。
銃身には金を用いた象嵌(ぞうがん)で家紋とうがはめ込まれ外観を重視していたようだ。
また角筒(かくづつ)が多く、照準を合わせる前目当が富士山の形をしていた。
銃の台をしめる銅金は幅広く、金具に彫刻が施されている。
※各部の名称はタイトルイラスト参照。
※台とはイラストの茶の部分である。
※象嵌とは器形の表面を削り、そこに他の材料をはめ込み図柄を表わす加飾技法である。

取扱い方指南
まず左絵の胴乱を右腰(右利きの場合)に、火薬入れを右胸につける。「胴乱」は一発分の火薬と弾丸をセットした筒、火打ち石などを入れる。
おしゃれなウエストポーチ。ちゃんと名前を書こう。
鉄砲を立て火薬入れより一発分をはかり巣口より注ぎ入れる。
コラコラ手元を見ていちゃダメだよ。視線は敵から1秒足りともはずさぬこと!
次に玉を込める。
火縄銃は「鉛」弾。
”かるか”でしっかり突き固める。
あっ!そんなに突ついたらアブナイよ!一回だけギュッと押せばOK。
火蓋を切り火皿を開ける。火皿は銃身内部と小さな穴でつながっているので、最初に入れた火薬に導火させるため少し火薬を入れる。
閉じるときに火薬がこぼれないように気をつけること。
火挟みを起こし火縄を挟む。
実戦のときは火種が消えないように注意する。
イラストは火皿に火が落ちた状態なので、あとは引き金を引くだけで発射可能。
もう後戻りできない!「火蓋を切る」という言葉がうまれた。

撃ち方指南
立ち放し
1.両足は肩幅より少し広く開く。
2.銃身は身体の中央に置いて半身の姿勢で敵に向ける。
3.左の脇を締め、全身のバランスをとり重心を安定させる。
利点立ったままなので進退が容易である。
難点下記に紹介する「膝台」と比べると安定感に欠ける分だけ命中率が落ちる。
作戦横に並んだ隊列のような実戦的な行動に適している。
中放し
1.正座し背筋をピント真っ直ぐに伸ばす。
2.敵に対して側面を向ける。
3.右肘を銃身より上に置くことで銃をしっかり右頬に固定できる。
立ち放しと膝台の中間の形で、射点は膝台よりも高い。
利点立ち放しよりもよりも身体が安定しているので命中率は高い。
難点両膝をついているので行動の自由が制限され、実戦向きとはいえないかも知れないような気もする。
作戦一斉射撃の場合は「立放し」と交互に位置どりして「ドンパチ!」した。
逆膝放し
1.左膝を折り、右膝を立てる。
2.身体の重心が前へ移るので銃口も視線も下前方へ向く。
利点城壁の鉄砲狭間(さま)からの狙い撃ちに適している。
敵がよく見えるので命中率が高い。
備考あの有名な「つるべ撃ち」とはまさに「逆膝放し」のことである。
語源は並んで一斉射撃するという意味の他に敵がつるべのように次々と倒れることから名付けられた。
※「つるべ」とは縄や竿の先につけて井戸の水を汲む桶のこと。
膝台
1.敵に向かい左膝を立てる。
2.右膝は状態を支えるため斜めに折って地面につけ、重心は身体の中央に置く。
3.左手で銃身をしっかりと水平に保ち、右肘は銃床に添えるように高く上 げる。
利点姿勢が安定していて上記で紹介した撃ち方の中では群を抜いてに命 中率がよい。
難点んんん...これも「中放し」同様行動の自由が利かない。
騎馬隊など動きの速い敵に対しては敏速に対応できない。

後はお好みのポーズが決まったら前目当てと先目当てで焦点を合わせ、なるべく敵を引きつけてから引き金を引く。
反動は右頬につけた銃床で意識的に後ろへ逃がしてやる。

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